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犬の僧帽弁閉鎖不全症は自然治癒する?|治療を迷っている方へ

「自然に治るなら、あえて薬を飲まなくてもいいのでは?」
「症状がないし、今は様子を見ていても大丈夫?」
「本当に一生ずっと治らない病気なの?」
僧帽弁閉鎖不全症と診断されたとき、こうした疑問や迷いを抱く飼い主様は少なくありません。
特に症状が出ていない初期の段階では、まだ治療の必要性を感じないのも自然なことです。
今回は、「僧帽弁閉鎖不全症が自然に治ることはあるのか?」「治療を受けずに放置するとどうなるのか?」という点について、獣医療の視点から解説します。
ぜひ最後までお読みいただき、犬の僧帽弁閉鎖不全症の治療について知見を深めてください。
僧帽弁閉鎖不全症は自然に治る病気?
結論から言うと、僧帽弁閉鎖不全症は自然治癒しない病気です。
この病気は、心臓の左心房と左心室の間にある「僧帽弁」が変形・劣化して、血液の逆流を引き起こす構造的な異常です。
一度変化した僧帽弁は、時間が経っても元の正常な状態には戻りません。
また、進行性の病気であるため、放置しておくと徐々に悪化してしまいます。
心不全・肺水腫・失神・呼吸困難などの重篤な症状につながる可能性がある危険な病気です。
症状が出ていない場合は治療不要?
僧帽弁閉鎖不全症には「ステージB1(心臓に変化なし)」や「B2(心拡大あり・無症状)」などの進行度分類があります。
このうちB2ステージに該当する犬では、無症状であっても内科治療の開始が推奨されています。
理由は、治療を始めることで
- 心不全の発症を平均で15ヶ月以上遅らせられる
- 病気の進行スピードを緩やかにできる
- 呼吸困難や肺水腫といった急変リスクを抑えられる
という効果が確認されているためです。
犬の僧帽弁閉鎖不全症の内科治療についてはこちらもご覧ください。
犬の僧帽弁閉鎖不全症の内科治療とは?|薬で進行を抑える心臓病ケア
自然に治ることはないからこそ、早めの管理が大切
自然治癒が見込めない以上、僧帽弁閉鎖不全症との向き合い方は「進行を抑えること」になります。
具体的には、
- 定期的な心エコー検査や血液検査
- 適切なタイミングでの投薬開始
- 食事や運動の見直し
- 急変サイン(呼吸が速い・咳が増えたなど)への早期対応
といった継続的な内科的管理によって、より長く・快適に暮らすことができる可能性が高まります。
なお、近年では専門機関にて外科手術(僧帽弁形成術)を受けるという選択肢も一部で広がりつつあります。
ただし、手術は高度な設備と専門技術を必要とするため、対応できる施設は限定的です。
手術が適応となるかどうかは、病状や全身状態を慎重に判断したうえでの検討が必要です。
まずは内科管理による進行の抑制を基本としつつ、必要に応じて専門医と連携しながら治療方針を選んでいくことが大切ですね。
「薬を飲む=一生続けなきゃいけない?」への不安
「一度始めたらずっと薬を飲み続けなければいけないの?」と不安に感じる飼い主様もいらっしゃいます。
確かに、内科治療は継続が前提ですが、それは病気を安定させるために必要なケアでもあります。
血液の逆流や心臓の負担を抑えることで、犬自身の苦しさや急変リスクを減らすことができます。
「薬の効果がわからない」「本当に必要なの?」と感じた場合は、検査での評価や生活の変化を一緒に見直していきましょう。
こちらの記事も参考にしてください。
犬の僧帽弁閉鎖不全症の薬の効果とは?|投薬で変わる症状や生活の質
まとめ
僧帽弁閉鎖不全症は、自然には治らない進行性の心臓病です。
症状がない段階でも、少しずつ病気は進んでいることが多く、放置してしまうと命に関わる結果を招くこともあります。
自然治癒を待つのではなく、進行を抑えて上手に付き合っていくという意識で、早めの診断と継続的なケアを心がけましょう。
当院では、無理のない治療プランや定期検査を通して、愛犬と飼い主様が安心して過ごせるサポートを行っています。
気になる症状がある場合や、治療について不安がある場合は、お気軽にご相談ください。
よくあるご質問(Q&A)
Q1. 犬の僧帽弁閉鎖不全症は自然に治ることがありますか?
A. 僧帽弁閉鎖不全症は自然治癒しない進行性の病気です。
変形した僧帽弁は元に戻らず、放置すると心不全や肺水腫などの重篤な症状を引き起こす可能性があります。
早期の発見と継続的な治療が大切です。
Q2. 症状がない場合でも治療を始めた方がいいですか?
A. 症状がなくても、心拡大が見られるステージB2では内科治療の開始が推奨されています。
治療を始めることで、心不全の発症を遅らせたり、病気の進行を緩やかにしたりする効果が確認されています。
Q3. 一度薬を始めたら一生続ける必要がありますか?
A. 基本的には継続的な投薬が必要になります。
投薬は症状の安定と急変リスクの抑制のために重要な管理です。
不安な場合は、定期検査による評価と生活状況に応じて獣医師と一緒に治療内容を見直すことが可能です。
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