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猫の肥大型心筋症は症状がないことがある?|無症状でも治療は必要か獣医師が解説
猫の肥大型心筋症は症状がないことがある?|無症状でも治療は必要か獣医師が解説

猫の肥大型心筋症という病気をご存知ですか?
肥大型心筋症は心臓の一部が異常に分厚くなり、心機能の低下を起こす病気です。
心臓の病気というと、不整脈や呼吸困難など分かりやすい症状を想像されることが多いかもしれませんね。
しかし実は、猫の肥大型心筋症の場合には症状がないことも多いという特徴があります。
今回は、猫の肥大型心筋症についてご紹介し、無症状でも治療は必要なのか詳しく解説いたします。
ぜひ最後までお読みいただき、愛猫が肥大型心筋症になったときのご参考にしていただければ幸いです。
猫の肥大型心筋症とは?
猫の肥大型心筋症とは、心臓の左心室という部分の筋肉が異常に分厚くなり、心機能の低下や心拡大が起こる病気です。
肥大型心筋症になると、
- 呼吸が苦しくなる
- 元気・食欲が落ちる
などの症状が出ることがあります。
病気が重症化すると、
- 肺水腫
- うっ血性心不全
- 動脈血栓塞栓症
といった命に関わる合併症を引き起こすこともあるため、注意が必要です。
肥大型心筋症は特定の種類の猫における発生が多く、
- 短毛の雑種猫
- メインクーン
- ラグドール
- アメリカンショートヘア
などでよくみられます。
発症する年齢は4ヶ月〜16歳と幅広く、重症度や進行度は個体によってさまざまです。
猫の肥大型心筋症は症状がないことがある?
猫の肥大型心筋症は命に関わることもある病気です。しかし、実は分かりやすい症状がない場合も多いものです。
無症状や心雑音のない猫の11〜16%に肥大型心筋症があるという報告もあります。
肥大型心筋症に気付かずに過ごしている猫が、一定数いるということですね。
猫の肥大型心筋症のステージ分類とは?
猫の肥大型心筋症は、無症状のものから重症のものまでさまざまな段階があります。
これらの段階をアメリカの獣医内科学会(ACVIM)がステージ分類したガイドラインが存在します。
ガイドラインでの分類は、以下のようなものです。
ステージA
心筋症の素因(好発種など)がある状態。
ステージB1
無症状だが、心臓の構造に軽度の異常が見られる状態。
うっ血性心不全(CHF)や動脈血栓塞栓症(ATE)を起こすリスクは低い。
ステージB2
無症状だが、心臓の構造に中〜重度の異常が見られる状態。
CHFやATEを起こすリスクが高い。
ステージC
現在もしくは過去にCHFやATEを発症している状態。
ステージD
治療に抵抗性のCHFがある状態。
症状がない肥大型心筋症に治療は必要なの?

猫が無症状の肥大型心筋症であったとき、治療は必要なのか悩む方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、先述したステージB1〜B2の内容からもわかるように、症状がない場合も、心臓の構造に異常があったり、命に関わる合併症のリスクがあったりするものです。
無症状のままでも、合併症のリスクが次第に上がっていくため、
- 気づいたら重症化していた
- 無症状だったにも関わらず、合併症を起こし、状態が急変した
- 合併症により血栓が詰まり、突然亡くなってしまった
といったことが起きる危険性があります。
以上のことから、猫が無症状であっても、放っておかずに治療を開始することがとても重要です。
症状がない肥大型心筋症の治療はどんなことをするの?
症状がない肥大型心筋症では、段階に応じ、定期的なエコー検査と薬の内服を行います。
ステージAやB1の場合
ステージAやB1の猫において、肥大型心筋症の発症を予防できるような薬は、残念ながら今のところありません。
年1回以上の定期検査を受け、心臓の構造の異常が進行していないか、合併症を起こしていないか確認しましょう。
定期検査を受けることで、服薬を開始するタイミングを計ることも可能です。
ステージB2の場合
ステージB2では、血栓を予防する薬の内服を開始します。
心臓の状態に応じて、
- 血管拡張薬
- 利尿薬
- 抗血栓薬
- β遮断薬
といった薬を併用することもあります。
定期的な受診を続け、肺水腫や胸水が見られたときにはすぐに対症療法が必要です。
まとめ

いかがでしたか?
猫の肥大型心筋症は、症状がない場合でも、状態の急変や突然死の危険性がある病気です。
定期検査を受けることで、進行具合をしっかりと把握し、適切なタイミングで治療を開始するのが大切ということですね。
当院では循環器科に力を入れております。
猫の肥大型心筋症や、無症状の愛猫の治療についてご相談がある方は、お気軽に当院までご連絡ください。
よくあるご質問(Q&A)
Q1. 肥大型心筋症は症状がなくても進行しているのでしょうか?
A. 猫の肥大型心筋症は症状が現れないまま進行することが多くあります。
心雑音がなくても11〜16%の猫が罹患しているとされ、気づかないうちに病気が進行している場合もあります。
Q2. 無症状の肥大型心筋症でも治療は必要ですか?
A. 無症状でも心臓の構造異常や合併症のリスクがあるため、治療や定期的な検査が重要です。
突然死や血栓塞栓などの重大なリスクを避けるためにも、早めの管理が推奨されます。
Q3. ステージB2の猫にはどのような治療をしますか?
A. ステージB2の猫では、血栓予防のための薬を使用することが一般的です。
状態によっては、血管拡張薬・利尿薬・β遮断薬などを併用することもあり、定期的な検査で治療内容を調整します。
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